その憎しみが、愛に変わるほど
俺で埋め尽くして狂わしてやる
[ 端から見たラブシーン ]
嫌われてるとは、態度で分かったけど。
認めたくなかった、認めなかった。
だから、狂わしてやろうと想った。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
冬の屋上は、異常に寒い。
しかし、そんな寒いところで、俺は1人、
自販機で買った、暖かい缶コーヒーと、購買のパンを抱えて
座っていた。
かじかむ手を必死で温め、缶コーヒーの蓋を開けるのに苦戦しながら。
"カツン、カツン"
凍えたひとさし指の先が、何度も缶コーヒーのタブの上を
滑る。やっぱり屋上とかいう温度が変化するところじゃぁ
開かないのか?
"カチャ"
半分ヤケになりながらカツカツやってると
ドアの開くような音がして、缶コーヒーの蓋が開いた。
口から、もやもやと湯気が昇って、何故か達成感で満たされる。
俺って結構単純かも、とか考えながら、缶コーヒーの口を、
自分の口に寄せると、一口だけ飲んで、自分の隣に置いた。
缶コーヒーの変な後味が、口の中に残る。
甘いような、苦いような、変な味が。
ブラックにすりゃよかったかな、なんて今更後悔しながら
今度は、パンに手をつけた。
― ― ― ― ― ― ― ― ―
パンも食べ終わって、
変な後味の缶コーヒーをなんとか飲み干して、
口直しに茶でも買ってくるかな、と思った時、
屋上のドアが勢いよく開いた。
「コラァ、御柳芭唐!!屋上はただいま立ち入り禁止です!!」
威勢良く叫びながら、叫んだ本人は俺の前にたった。
今時の女子にしては珍しい、あんまし短くないスカートに
規則にそった制服の着こなし。
― 。クラスメートの風紀委員だ。
「あんだよ、いーじゃねーか別に。お前の屋上じゃないだろ。
それにただいまってこたぁ、今は禁止だけど、さっきは禁止じゃなかったんだろ?」
俺は最もな意見を述べてから、バッカじゃねーの?と呟いた。
大抵の奴はここで引っ込んで、『こ、今度から気をつけろ』とか言って
立ち去っていくけど、コイツは迷いなく
「アタシの屋上じゃないけど、アンタの屋上でもないでしょ。
それにただいま、っていうのはこの冬期の間のことを指すの。分かる?
理解力のない、野球部の四番打者さん?」
こういうんだ、いっつも。まっすぐな瞳で。
ある種ウザイながらも、俺は何故かコイツに惚れた。
態度で嫌われてるとはすぐに分かったけど
それでも俺のものにしたくて、今日もこうして、コイツに
怒られるためにここに来た。
「屋上は、みんなの公共の場だぜ?」
みんな、というところをやたら強調して、俺はを睨みつけた。
はそれでも、怖気づかずに、偉そうな口ぶりでそう言う。
「何言ってんの?公共の場かどうか決めるのは、風紀委員です。」
「あーはいはい、そうですかよ。じゃぁ早く、ここを公共の場にしろ。」
「私利私欲のための要求は認めませーん。」
胸を張ってそういうに、俺はほんの少し怒りを覚えつつも
肩を回しながら、ふらふらと立ち上がった。
の目の位置が、俺よりも低くなる。
「…お前さ、ホント偉そうだよな…」
ズボンのポケットに手を突っ込んで、の顔を覗きこむ。
それと同時に、の顔が、引きつる。
その表情を楽しみながら、俺は耳元で
「なぁ?……いや、?」
と囁いた。
の体が、ビクッと震え、後ずさりしようとしたが
俺はその腕を掴んで、壁に押し付けた。
鈍い音と、の痛みを耐える声が、同時に耳に入る。
「…頭、でも狂った?」
が、上目遣いに俺を睨みながら、そう言う。
その表情が、どれだけ男を煽ってるか分かってんの?
「あのな、状況を考えろ。」
「は?」
「迫る俺、迫られるお前、端から見りゃぜったいラブシーンだぜ?」
「…!?」
「鈍、感」
からかいながら、顔を近づける。
の顔が、だんだん恐怖の表情へとかわっていく。
ほら、もっと怖がってみろよ。
俺を憎め。
「そうやってさ、上目遣いで睨むの、男をどれだけ煽ってるか分かってるわけ?」
また、からかうようにそう言うと、顎のあたりを持ち上げながら
ギリギリまで顔を近づけた。
「俺の事、嫌い?」
「……バッ、あんたなんて、嫌い!」
その言葉を、が紡いだ瞬間、
漠然とした怒りと欲情がこみ上げてきた。
多分抑えられない。
狂わしてやる
狂わしてヤル
クルワシテ ヤル
「大大大大大ッ嫌―――――」
の言葉が、最後に到達しそうになった瞬間、
我慢が解けて、俺は無意識にの唇を塞いだ。
狂わしてやる、という
漠然とした欲情の中で。
「ん、ん…――――――」
が必死でもがく。
俺を突き飛ばそうと、服を掴んだ仕草が、あまりにも愛らしくて
俺はを抱きしめると、彼女の口内に、ムリヤリ舌を侵入させた。
「んぅ!?…うっ…ん…」
の、俺の服を握る力が、強くなる。
その憎しみが 心の傷が
愛に変わるほど
愛してやるから
脱力していくを抱きながら、俺は彼女をゆっくり押し倒した。
―――――――――――――――――――――
初の御柳夢です。長くなってゴメンナサイ。
っていうか、最後エロいし(爆)
今はさすがにちょっと恥ずかしいので書いてないですが
最初、書こうとしたときは
「脱力していくを抱きながら、俺は彼女を押し倒し
その後の行為に走った」
と書こうと想ってました(メラエロいし)
|